sing a song

PBCサイトPetitで動かしているソニア、サイラス背後が拙い文を晒す場所になります。暇つぶしになれば幸いでございます。

2017年、大晦日。

今年もあとちょっとで終わりますね。
昨年の大晦日に振り返りのSSを書いたのですが、今年も書いてみようかなぁと思った次第でございます。
一時間くらいでサクサク書いたものなので拙いものではありますが、暇つぶしになれば幸いです。

 

雪降る郷より

 

今年ももう数時間で終わる。左手首にある銀細工のねじまき時計に視線を落として時刻を見やった。
振り返る今年。部屋にある思い出の品々に視線を巡らせて、微笑する。頂いた時は小さい子だった紅色の金魚も今は大分大きくなった。

ーーーーコンコン

ふと、玄関からノックの音が軽快に響いた。音の調子、僅かなリズム。それは良く知る人物のものだ。

「兄さん、どうしたの?」

玄関の扉を開けながら相手の名前を口にする。開け切って視界に入るのは黒髪に長身の兄の姿。変わらない無表情を視認して小さく笑った。

「ニメターンから便りが来た。お前にも来ていると思う。連名で返信を考えている」

ふと、聞き馴染んだ国の名前を聞いて微苦笑を浮かべる。兄に部屋に上がるように促しながらリビングへと足を進めて、テーブルに置かれた封の開いた手紙を手に取る。後から来る兄に見えるように手紙を掲げて。

「勿論、届いているわ。ママはみんなにお手紙を出すつもりかしら?」

リビングに足を運んだ兄は無表情のままに、自身の掲げた手紙に視線を落とした。表情は変わらないが、小さく吐いた息で兄がどうしたものかと言った複雑さが垣間見えた。

「…桜花では、年始は子供に“オトシダマ”というものを贈るそうだ。それに似たようなものかもしれないな。」

届いた手紙から感じる硬質な円形がいくつか。その物言いは少しだけ照れたような柔らかさもあって、私も心が暖かくなる。ふと、兄が少し自身に視線を据えた。疑問気に兄を見上げ、首を傾ける。

「なぁに、兄さん? 何か、気になることでもあったの?」

兄と妹の関係になってからは長い。多少なり兄の考えていることは分かるつもりだ。私の問いかけに兄は少しだけ栗色の双眸を泳がせた。少しの間があって、再び私に視線を向ける兄。口を開く。

「…ソニア、俺のことを恨んでいないか? …俺は、“懺悔”を考える」

要領を得ない兄の言葉だが、何かあったのだろうとは理解できる。
懺悔、兄を一番に睨む眼差しを向けたのは何歳頃だったか。戦乱の暴虐の世界。あの時初めて、兄の感情のある顔を見たと思う。
やはり、苦笑を零した。

「今は、恨んでいないわ。昔は別ね。…兄さんには、酷いことをしたわ。」

一呼吸おいて、兄の背中を柔らかく叩く。宥めるように優しく、優しく。表情は変わらないが、少し力の入っていた兄の身体が落ち着いた気がした。

「そうか、感謝する。 …俺は、当然と理解している。」

静かに口にした言葉に、兄の“懺悔”は終わらないのだと知る。苦笑を浮かべそうになって、やめた。今日で今年も終わる。兄を椅子に腰かけるように促す。

「そう。じゃあ、今年の最後は私と一緒に晩酌しましょう? ビアフェスタのときのビールがまだあるの。まずはシーソルトビールから行こうかしら?」

「………ソニア。俺が下戸と知って言っているだろう? …俺が受けた依頼の、捕鯨の料理が…広場で振舞われるそうだ。後で行こう。」

兄の困ったような物言いに、可笑しさで笑ってしまいそうになった。今年最後に良いものを見れたから、ご褒美にノンアルコールのカクテルを作ってあげよう。

 

Hyvää Uutta Vuotta!


Fin

 

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あとがきです。

ソニアとサイラス、二人の会話をこうして形にするのは初めてです。ペティットではゴブレットイベントのときにサイラスの見舞いの花を買いに行くところから、ラウラちゃんがソニアに見舞いをしたいと言ってくださって、それがきっかけでソニアとサイラスの二人が存在する空間を作ることができました。楽しかったです。

 

本年はソニア、サイラス、そして撫子共々お世話になりました。
色んな方々から有難い言葉を頂くことも多く、感謝と共に驕らないようにと律しつつ、でもやはりたくさんの有難うを言いたい気持ちでいっぱいです。

これからソニアやサイラスがペティットでどのような姿を見せるのか、私自身がとても楽しみです。そして、皆様の素敵なC様の物語、交流を思うと弾む気持ちになります。

 

皆様、良いお年をお過ごしくださいませ。